女王の密戯
「あたしもご一緒していいんですよね?」

由依は漸く口から缶を外して言った。
駄目だ、と言ったところでついてくるのだろうし、何より物事は穏便に済ませたい。由依の父親は茶田とは立場の違う人間なのだから。

ここで駄目だと言ったところで由依が父親に告げ口をするわけではないが、もしそれが管理官などの耳に入ってしまえば確実に嫌味や小言を言われる。なので由依の言葉に頷くしかないのだ。

由依は別に狡猾な女性でこうなることを理解したうえで行動をしているわけではない。単に茶田の傍にいたいから、こうして行動しているだけなのだが、それは茶田から見れば厄介意外のなにものでもなかった。

「是非、一緒に」

由依の言葉に答えたの茶田ではなく三浦だ。三浦からしてみれば由依と一日中一緒にいられるなんて願ってもないことなのだろう。

「三浦さん、優しい」

由依はふふ、と笑いながら上目遣いに三浦を見るので三浦はそれにまた顔を染めた。このあともずっと、三浦は由依の言動にいちいち顔を赤らめるのだろうか。
そうなるともう、面白いどころではなく反対に気の毒にしか思えなかった。






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