七番目の悪役
ーーーボンッ!
実験で失敗したような音がしたと同時に白い煙が辺りに充満する。
「ゲホッゲホッ・・・ロイド!」
煙を吸い込み咳き込む。
辺りは真っ白で何も見えない。もちろん、ロイドの姿も。
「セシルッ!いるのか!」
「その声・・・フラン!?」
白い煙の中にうっすらと影が見える。
それは段々と近付いて来てそれに比例していつも聞いている声も大きくなっていく。
「セシルッ!」
セシルを確認するようにキツく抱き締める。
「ふ、フラン?」
いつもはイジワルばかりして余裕の表情しか見たことがなかった。
こんなにフランが必死になるところは初めてだった。そんなフランにセシルは動揺していた。
「馬鹿か!怪我してるのにこんなに無理して・・・早く傷口を見せろ。」
「わ、分かったのだ。」
視界もクリアになってもっとフランの顔がよく見える。
ーーな、何なのだ。一体・・・
自分のためにこんなに必死になってくれるフラン。この感情は一体なんだろう。
たくさんの分厚い本を読んだセシルだが、この気持ちを表現する言葉はどの本にも書いていなかった。
「キュンキューン」
「え、うさぎ?」
フランが手際よくハンカチを巻き付けて応急措置をする。そんな横にこの森で別れた筈の白うさぎが足元に来ていた。