七番目の悪役
頭に響く騒音の数々
鼻につくニオイの中に緑は一切ない
空気が重く空は曇天
「うぅ。な、何なのだ。ここは・・・」
そこはビルとビルの隙間。この世界では一般的に路地裏と言われる場所にセシル達は出た。
セシル達は初めて見るものばかりで目が回るように周りを見渡した。
「さぁ、でも僕たちがいた世界とは程遠い場所だね。」
手でお手上げのポーズをとるフラン。
なぜそこまで冷静でいられるのかセシルは全く理解出来なかった。
一人で慌てているのを悟られたくなくて目線を横に反らすとそこにはロイドらしき後ろ姿が人混みの中に一瞬見えた。
「あっ!ロイド!?」
ロイドを見失わないように慌てて路地裏から飛び出す。
フランもセシルの意図が分かったのかそのあとを追う。
街中を全力疾走する二人を気に止める者は誰もいなく皆自分の世界に一生懸命だった。
「ハァハァ・・・なんなのだ!」
ロイドを見失ったと思ったら近くにいて、ロイドに追い付けたと思った素早く逃げられてしまう。
まるで僕たちを誘っているようだ。とフランは思ったがセシルの焦る姿がどうにも面白く黙っていた。
「ハァッーハァッーここに入って行ったのだ。」
今までの縦長の建物とは違い横に広い建物がそこに広がっていた。
そこには『学園』と大きく書かれているが残念ながらセシル達にはこの世界の文字が読めなかった。