七番目の悪役
夢の話
「ッ!」
ベットから飛び上がる。
汗のせいでへばりつく髪が鬱陶しい。けど今はあの夢がまだ頭にこびりついている。
私は七番目の悪役:セシル
前の六番目の悪役は一番目のヒーロー役によって殺され役についたと同時に悪役となった。
セシルは艶やかな黒髪に大きな猫目の美少女と普通のボーイッシュな少女に見えるが彼女の腰の辺りから先がトランプのスペードのような尻尾がゆらゆらと揺れていた。
これが悪役の証だった。
「相変わらず暗いのだ」
外を見ると真っ黒な森が続いていてその奥に太陽の光が届く街が小さく見える。
悪役は森のもっと奥の魔界にある城に住むことが決められている。セシルもこの城に住んでいた。
「またあの夢だったのだ・・・」
まだ役が決まっていない名無しだったころの夢。
「あの子に会いたいのだ・・・」
ただ一人の友達。
悪役に友達はいない。それどころかこの魔界には人間は誰もいない。