厄介な好奇心
「俺か?お前と同じ仕事をしてた奴だよ」

 俺と同じ仕事って何だよ?このおっちゃんも訳が解り難い部類の人間か? 

「同じ仕事って、どうしてそれが解るんだよ?」

 おっちゃんは、彼女の身体を足で押して揺らした。 
「こいつがさっきお前に言ってたじゃないか」 

「さっきって、僕には何が何だか全然解らないんだけど」

「だろうな・・・・」

 少しの間があいたが、僕は次の言葉を待つことにもう焦りは無かった。 

「お前、工作員って知ってるか?」

「あ、うん。テレビで何度か聞いたことがあるけど、それが?」 

「それがってお前・・・・・」

 おっちゃんは呆れた顔をしたが、「まあ、いいか」と言って話を続けた。

「こいつはな、ある連合国の工作員で、組織が成し遂げようとする戦略を邪魔する輩を排除、つまり、殺すミッションを受けた奴なんだよ。まあ、スパイという奴と同じだがな。そして、お前は組織の戦略を阻止、妨害する為の装置を開発している。それは、この俺も以前は同じであった。そのせいでこいつらの手により抹殺されそうになったが、気紛れな幸運の女神が微笑みをくれてよ、こうやって隠れながら生き続けているって訳だ。その平和な隠れ家をお前らが乱してくれたことは言うまでも無いがな」
< 27 / 61 >

この作品をシェア

pagetop