厄介な好奇心
「問題はここからだな。基地に潜入するかどうか・・・・」  

「えっ?」

「ここまで来たら気になってくるよなあ」 

「えっ?」

「えっ、ばかり繰り返して言うんじゃない。お前はオウムか?」

「そうじゃなくて、おっちゃんが言ってたじゃない、捕まったら殺されるって。僕、死ぬのは嫌だよ」

「ワッハッハッハ―」 

 何だ、この人は? 

「いや―、そうだったな。忘れてたよ」

「おっちゃん」

「何だよ。急にでかい声なんか出しやがって」

 小僧が指差した方向に顔を向けると黒光りした高級セダンが一台向かって来ているのが見えた。 

「小僧、静かに車を出せ。場所を移動するぞ」

 僕らは、道を一本隔てた場所に車を移し、車内からその様子を伺うことにした。 

 高級セダンが、おっちゃんの指摘した場所に入り、後部ドアが開いた。どうやら、運転手は車から降りないらしい。後部ドアから身を現した男は黒い帽子を深々に被り顔を見せないようにしていたが、その背格好からそれが首相だとは容易に判断出来た。 

「おっちゃんの推測が当たってたよ」

 僕は驚きの表情でおっちゃんの顔を見たが、意外にもおっちゃんの顔つきは冷静なものであった。 

「くそっ、運転手が居なければな・・・・」 

「運転手が居ないとどうなるの?」

「このGPSを車の底に貼りつける」
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