厄介な好奇心
 まさか、捕まったのか。真二は焦った。姿勢を更に低くして建物に近寄る。 
「うわっ」

 足首を捉まれた。真二はもう片方の足で捉まれた方向を夢中で蹴り続けた。 
「痛たた・・・やめろ、くそガキが。俺だよ俺」

 聞き慣れた声に真二は目を丸くした。そこには、右肩付近を赤く染まらせたおっちゃんが苦痛に紛れて苦笑いしていたのである。 
「おっちゃん」

「馬鹿。大声を出すな」

 おっちゃんに嗜められたが、真二は嬉しくて仕方がなかった。 

「良かった。無事だったんだ」

「馬鹿野郎。このどこが無事なんだよ。相当に痛えんだぞ」

 おっちゃんは、そう言った後、足下から銃を取り出して見せた。 

「どうしたの、それ?」

「俺を打ちやがった奴からブンどった」

「え、相手は?」 

 おっちゃんは、傍らの木の根本を顎でしゃくった。 

「安心しろ。もう、死んでるよ」
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