厄介な好奇心
 いくら警察だからといっても勝手に他人のポケットの中身を見ても良いのか。そう反論しそうにもなったが、もしもの事態を考えて心配してくれたのだろうと無理矢理自分を納得させた。 

「それで僕はどんな状況だったんですか?」

 男は再度開いた手帳に目をやり、朗読でもするかのように読み上げた。 

 しかし、それは既に看護師の女性から聞いていたものとそれほど変わることはなく、僕の期待は見事に裏切られてしまった。

「それでなんですが、あの道はいつも利用されてるんですか?それとも、たまたま通っただけとか?」

「いつも通勤に通ってる道です」

 どうやらそれを手帳に書いてるようで、顔すら上げないままで会社名と僕の住所、連絡先を聞くと、また同じようにペンを走らせている。それを見て僕は、こいつは頼りない奴というレッテルを貼った。
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