厄介な好奇心
「あらあら、ゴミはキチンとゴミ入れに、ですよ」
壁に跳ね返ってドア付近まで飛んで転がったあの男の名刺を拾うと、少しだけ悩ましげな笑みで僕を見た。
その時、何故だか分からないのだが、返事することも忘れて彼女の顔を見入ってしまった僕は、その事に気付いて慌てて視線を外した事が妙に恥ずかしくなった。
「あれ、これってさっきの刑事さんの名刺・・・・」
彼女は折り曲げられた名刺を開いて独り言のようにつぶやいた。
「すみません。それ、捨てて貰えますか?」
彼女は、曲がった名刺を手の平で丁寧に伸ばす仕草をした後、「せっかく頂いたんだから持っていたほうが良いですよ」と言って差し出して来た。
名刺と一緒に差し出された手は血管が透き通って見えるような白く綺麗な肌で、僕は言われるがままに名刺を受け取ると、ベッド横にある据え付けの小さなテ―ブルの上にそっと置いた。
「退院、いつになりそうですか?僕、まだ誰にも連絡して無いんですけど」
「そうですねえ、検査の結果にも異常が無いようだと先生も言ってたし、少し様子だけみられるつもりだと思うから、早ければ明日くらいには大丈夫じゃないのかな?」
壁に跳ね返ってドア付近まで飛んで転がったあの男の名刺を拾うと、少しだけ悩ましげな笑みで僕を見た。
その時、何故だか分からないのだが、返事することも忘れて彼女の顔を見入ってしまった僕は、その事に気付いて慌てて視線を外した事が妙に恥ずかしくなった。
「あれ、これってさっきの刑事さんの名刺・・・・」
彼女は折り曲げられた名刺を開いて独り言のようにつぶやいた。
「すみません。それ、捨てて貰えますか?」
彼女は、曲がった名刺を手の平で丁寧に伸ばす仕草をした後、「せっかく頂いたんだから持っていたほうが良いですよ」と言って差し出して来た。
名刺と一緒に差し出された手は血管が透き通って見えるような白く綺麗な肌で、僕は言われるがままに名刺を受け取ると、ベッド横にある据え付けの小さなテ―ブルの上にそっと置いた。
「退院、いつになりそうですか?僕、まだ誰にも連絡して無いんですけど」
「そうですねえ、検査の結果にも異常が無いようだと先生も言ってたし、少し様子だけみられるつもりだと思うから、早ければ明日くらいには大丈夫じゃないのかな?」