腹黒年下くんの甘い罠。




侑李くんのことが本気で好きなんだって自覚する。


田原先輩に騙されたときとは感じ方が全然違う。


「......っ。」


苦しいよ。

息がうまくできない。


カタンッ


体の力が抜けていく私の手から大切なPSPが落ちる。


「誰?」


侑李くんは全く笑わず私の方へ視線を向ける。


あのときと一緒。

性格が悪い侑李くんを見てしまったときと一緒だ。


「彩華先輩?」


私を見て目を丸くする侑李くん。


知らないフリをすればいいのかな。

何も聞かなかったことにすればいいのかな。


「なんで泣いてるの?」


侑李くんに言われて気づいた。


「.....っ」


頬を濡らす大粒の涙。


侑李くんは心配そうに眉を潜めて私に近寄る。


その表情も、嘘?






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