腹黒年下くんの甘い罠。
「お〜い。侑李ぃ〜。」
「何〜。僕、今、充電中なんだけどぉ?」
立ち入り禁止の旧校舎の屋上。
侑李はいつもここにいる。
あれから半年だろうか。
すっかり季節は冬になり、肌寒い日々が続いている。
侑李のことを寂しそうだと思う気持ちは相変わらずで、どうしても気になっていつもここにやって来る。
侑李はあの日以来、俺には裏の顔を見せるようになった。
いや、本来の姿と言うべきか。
その時だけはあまり、寂しそうに見えない気がする。
「ここ寒いだろ〜?風邪引くから、コンポタとマフラー持って来たぞ〜。」
「ん〜。コンポタいる〜。」
俺がコンポタを渡すと侑李は嬉しそうに笑いコンポタに顔を当てている。
マフラーは適当に俺が巻いてやる。
「も〜適当に巻くなぁ。」
「じゃあ、自分でやれよ。」
「えー。」とか言っている侑李を見てため息。
本当、手のかかる奴。
侑李はこんな見た目のくせに甘いものが嫌い。
だからココアではなくコンポタを買ってきた。