瞳の向こうへ
「……帰ったんじゃ」

「忙しい人間なの知ってるでしょ?」

「そうだな」

「唯は?」

「帰った。でも、もう時間の問題」

「別にへんなことしてないからいいじゃん。ねえ?」

真緒はまたニッコリ微笑む。

純粋な笑顔に私はメロメロです。

「ほら、さっさと真緒を家まで送りな。心配するからさ」

二人の背中をそっと押した。

遠くから見てもお似合いだわ。

「え?」

突然目の前が真っ暗に。

慌てて振り向くと、今度は期待の野球部員兼プレイボーイ君が。

『今から帰るんですか?』

『帰るよ』

『付き合いますよ。一応夜道なので』

『ご丁寧にどうも』

翔君とこうして面と向かって会うのは久しぶりだ。

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