瞳の向こうへ
『どう?甲子園行けそう?』

『みんなそのために練習してますよ』

『だよね』

『葵さんはどうなったんですか?』

『お先に全国の切符取りました』

『ですよね』

少しだけ翔君が微笑んだ。

笑ったらかわいい少年なのにね。

『それより大丈夫かな?』

『何がですか?』

『彼女に見られちゃ学校行けなくなるよ』

『彼女はいません』

『またフラれたの?私たち三年の間にも噂は広まってきてるよ』

『ありがたいことです』

『ちょっとは落ち着かないと』

『誤解しないでください。俺からフってんですから』

『なおさらひどいよ〜』

『ありがたいことです』

ちっとも反省がない。

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