瞳の向こうへ
お互い何か言おうと思っても口に出すことが出来ず見つめあったまま時が流れる。

そんな空気を切り裂くように電話が鳴った。

立ち上がれないけど、このままで話すよ。

『……大丈夫ですか?』

葵ちゃんのか細い声だ。

「大丈夫よ。今だれもいない」

『……先生、もしかして泣いてる?どうしたんですか?』

やっぱりバレるか。

しかし、葵ちゃんにバレるわけにはいかない。

「思い切って激辛ラーメン食べたらホントに激辛だったからもう口から火吐きそう」

『またまた思い切りますね』

電話の向こうは大爆笑。

バレません!!運がいい!

『あ!試合ですけど終わりました。3ー1で勝って甲子園決めました。では!お土産待ってますので』

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