瞳の向こうへ
助かった。帰ったら笑いのネタで茶化されるけどバレるよりいい。

「今の相手相良葵ちゃんですよね？」

加奈子ちゃんの口から思いもよらない言葉が。

「……え？どうして……」

何が何だかわからず混乱するばかり。

「松井さんっていう先生の友達から先生の近況は聞いてました。先生が目を輝かせて話している相手がいたらそれは今先生が大事にしてる教え子だって」

「……それが、相良葵さんって教えてもらった？」

「はい。さっき電話で話してた目が輝いてましたもん」

それは……涙目だと思うんだけどなあ。

あのおばさん記者はここまで羽を伸ばしていたのか。

私には到底真似出来ません。もう尊敬します。

身体の震えもやっと止まってきたので近くにあったパイプ椅子に座った。

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