瞳の向こうへ
「葵、どうした?」

女の子二人が迫ってくるとものすごい恐怖を感じてしまうのはどうしてだろう。

「どうもしないよ〜」

「年下は眼中になかったんじゃないの〜」

「あたしは、翔君のことぜーんぜーん思ってませんよ〜」

自分でもわかる。声がうわずってるのが。

「目が笑ってるよ。無理しないで。ここには女子たちしかいないんだからさ〜」

「だから……」

「あ・お・い!好きって言っちゃないなよ。楽になるよ」

彩佳の耳元でささやき攻撃の威力がすごい。

「……私は……」

「ほら!抽選始まるよ!葵は翔君の学校の保護者だから母親の気持ちになってるの。わかった彩佳?」

唯サマには頭が上がりません。

彩佳は妙に納得したようでテレビに集中してくれた。

彩佳の隙をついてお互いウインク。

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