瞳の向こうへ
目の前にある大好きなオムレツは半分しか食べれなかった。


風邪さえひいてなければオムレツを……。


ふと目が合った母にごめんねって目で合図した。


母はオムレツ見てたから、私の言いたいことはそれなりに理解したと思う。


玄関を開けると、外は滝のような雨だった。


父の車が待っていた。


「ごめん。待たせて」


父は私が座席にちゃんと座るのを確認してから車を発進させた。


車を使えば5分で学校に到着する。


歩いてもそれほど時間はかからないから、遅刻は今までしたことがないのが自慢です。


ちなみに、昨日お電話してきた私のお友達は朝弱くて遅刻を数回やらかしてしまいましたけど。


「着いたぞ〜。だいぶやんできたな〜。今がチャンスだ!走りな!」


お父様、病み上がりの娘なんですけど……。


確かに走ればいいよ。雨小降りだし。


中まで入ってくれないんだね。


とりあえず傘広げて、後は玄関まで全力疾走。


「いってらっしゃい。気を付けろよ」


背後から聞こえる父の言葉は完璧に右から左に受け流してた。


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