瞳の向こうへ
「今はもう太陽のように明るい子に戻ったけど、本当に大変だった」

「どう大変だったんですか?」

「人間を信用しない。男性も女性も。老若男女あらゆるもの全て」

フォーク持ってる手が小刻みに震えてる。

それだけで潤子先生が大変な思いをしてきたのか伝わったよ。

「当然先生なんか相手にもされなかった。罵倒されたよ。死ね!死ね!消えろってね」

松井さんはうつむき加減で横やりをいれることもなく黙って聞いてる。

フォークを手放しで口元を手で覆う。

「大丈夫ですか?」

「ありがと。でもね、これが先生の仕事だから罵倒されようが殴られようが彼女に寄り添ってカウンセリングするしかなかったの」

「大変だったんだよ〜。毎日あたしのとこ電話よこして泣くのよ」

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