瞳の向こうへ
水溜まりを避けようにも辺り一面水溜まり。


濡れている感覚は痛いほどわかるけど、とりあえず今は中に入ることが大事。


「おはよう」


「凄い雨だったねえ」


「さ、行こーー」


ため息混じりに傘をたたみ、靴を履き替えようとした時、背後から何かにぶつかった感覚が。


慌てて振り向くと、男の子が私を睨んでる。


見たこともない子だったけど、この学校の制服着てるから、この学校の子なんだよね?


目がくりくりしててかわいい。


鼻が長くて外国人みたいだし、肌もきれい。お人形さんみたい。


「あ、あー」


指差してるけど、何?


「あ、葵〜おはよう。どう?風邪治った?」


「彩佳おはよう。もうばっちり」


「うそだあ〜。葵の立ってるとこ二年生のとこだよ〜」


朝から親友の彩佳に苦笑いされてしまった。


よくよく見渡すと、確かにそうだった。


朝からバカをやらかしてしまいました。


そうと分かれば、彼に謝らないとね。


「ごめんね〜。今すぐどくからね」


彼はもう一度私を怪訝そうな目で見つめ足早に去っていった。


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