瞳の向こうへ
こうなったら加奈子ちゃんの言った通りなのか？

私は相当無理してるのか？

「翔君と付き合うようになって本来の加奈子ちゃんに戻りつつあったよ」

やっぱり恋愛すると人は変わる。

……一応経験者が語ってます。

「だけど、夏の例の事件で加奈子ちゃんはいろんな苦しみをまた背負うことになった。意識がなくなる前にお見舞いに行ったら裏切者って泣きながら言われた」

松井さんがお会計を済ませて私たちは外へ出た。

真っ昼間の熱風ではなく、少しひんやりした風が時々わたしたちをゆらゆらと。

「私はここまでと思ってカウンセリングを他の人に引き継いだ。聞こえはいいけど、いい大人が仕事放り投げただけ。逃げたのよ」

「そんなことないです！先生は逃げてないです。加奈子ちゃんだってきっとそう思ってます。そんなこと言わないでください」
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