瞳の向こうへ
「近くにテレビに出てるソフトクリーム屋さんがあったから行ってきたんだけど、葵ちゃんが来るとは」

「気にしないで。私の気ままな一人旅だし。励まして帰るから」

翔君は猛スピードでソフトクリームを食べていた。

「なら俺たちは上でさっきの続きやろうぜ!行くぞ」

なぜか尚太君が率先して私と翔君を二人きりにしようとしてる。

戸惑う青柳君と紗弥加ちゃんの背中を押して二階へ。

私と翔君はほぼ同時にソファーに座った。

『どう?甲子園は』

『飽きました』

『飽きた?』

『一回行けば飽きますよ』

なんと贅沢な奴ですこと。

私なんか何回来てもはしゃいでるでしょうね。

『今日は私一人で開会式観てないから』

『潤子先生とですか?』

明らかに誰と観に行ったか薄々気づいてる。

ソワソワして落ち着きがない。

私は追い討ちをかけるように自分のスマホを翔君に向けた。

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