瞳の向こうへ
『この人が誰だか知ってるはずだよね?知らないとは言わせないよ』

汚いものでも見たかのような拒否反応を見せる。

『……どうして加奈子と会ったんですか?』

『会ってくれって言われたから会っただけ。会ってほしくなかったら直接言ってくれればよかったのに』

怒りで身体が震えてます。

野球で見せる険しい表情じゅない。

目が血走ってる。呼吸も荒い。

『加奈子ちゃんは元気だったよ。少しだけど自力で歩けるようになったよ』

『……だから?』

『……は?』

『これは、俺の問題です。相良先輩はもう一切関わらないでください』

翔君はテーブルを叩いて高速スピードの手話で私に対しての怒りをぶちまけた。

『俺の問題?俺の問題になぜ答えに本当はない私が出てきて潤子先生が涙をみせる必要があるのか今すぐに答えてほしいなあ』

これは変な流れになってきてるよ。

私が熱くなってどうするんだと言い聞かせてももうダメそう。

『何で答えられないの?あなたが加奈子ちゃんに会いにいけばそれで終わると思うよ。加奈子ちゃんはあなたを恨んだりしてないよ』

『先輩に何がわかるんですか!』

『わかんない私を巻き込んで何とも思わないの!!』

お互いテーブルの叩きあいの手話ゲンカ。

救いはフロントの人が誰もいないこと。

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