瞳の向こうへ
試合は完全に投手戦。

気がついたら延長戦突入だった。

九回にヒット一本打たれてキャプテンが俺のとこまで来たけど、二人笑い合った。

調子がいい時の俺とキャプテンしかわからない空間がたまらなく好きなんだな。

延長も十三回に突入。

氷袋がなくなり、マネージャーが濡れたタオルを持ってきてくれた。

キャプテンがマネージャーの隣に座り、スコアを入念にチェック。

振り向きざま俺の投球数を教えてくれた。

『155』

うわ〜、そんなに投げたんだ〜。

監督が今度は俺の隣に座り状態を確認した。

『大丈夫か?』

『いきます!』

今さら先輩に頼る展開ではないでしょう。

とにかくこの回で点を取ってくれとベンチはみんな祈った。

そして、先頭バッターがピッチャーゴロ。

誰もが落胆するはずだ。

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