瞳の向こうへ
十五分ほど待ったが、彼はマウンドに戻ってくることはなかった。

ピッチャーが交代し、バッターは刈谷先輩。

ただただ祈るしかない。

ベスト4まで勝ち上がれば廉が来る。

刈谷先輩に……頼む!!

ベンチ全員の祈りが通じ、刈谷先輩は初球を打ってセンターオーバーのツーベースヒット。

ついに。

ついに、欲しかった待望の先制点を延長戦で掴み取ったよ。

刈谷先輩はベンチに向かって万歳。

俺たちもそれに応えました。

続くキャプテンも畳み掛けるように初球打ち。

セカンドゴロだったが、荒れているグラウンドに足をとられて弾いてしまった。

刈谷先輩はそれを見てホームに猛然と突っ込んでくる。

慌てたセカンドがホームへ送球するが大きくそれた。

大きすぎる二点目が入った。

< 233 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop