瞳の向こうへ
体育館は大雨の影響なのか、湿った空気に包まれていた。


新入生は慣れていないせいか、皆無言で前を見据えている。


少し廉と視線がバッチリ合ったけど、お互い見てみぬふり。


私はすぐ唯に引っ張られて生徒会の皆様と隅に立たされました。


そして、すぐわかりましたよ。


朝、不機嫌モードだった年下の青年が唯の隣に立ってるじゃないですか。


近くで見るとイケメンがはっきりわかる。


香水少しつけてるなあ。


しかも、見慣れたラベンダー系。


唯の香水だ。


この男慣れてるな。いろいろと。


新入生との対面式を終え、校長先生が一旦下がり、唯と交代。


辺りを見渡す唯。


貫禄抜群。


「えー、今日は新入生との対面式を終え、本当ならば、ここで解散なんですが、もう一人紹介しなければならない人がいます」


微動だにせず、唯を黙ってみつめている。


私に興味はないよね。


「はるばる関西の高校から転校してきました。東に、海に、林で名前が飛翔の翔で東海林翔(しょうじかける)君です。二年生です。では、お願いします」


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