瞳の向こうへ
頼みの唯はどうやら任務完了の様子です。


壇上には私としょうじ君しかいない。


しかも、またまた不機嫌モードっぽい雰囲気。


さっさと終わらせるのが一番。


「今から手話でお互いの自己紹介をします。少し会話がない時間が続きますが、みなさん寝ないでください。寝てる人がいれば生徒会の皆さんが起こしにいきますのでよろしく。では、始めます」


降りても唯に仕事を与えますよ。


さて、やりますか。


『手話出来るの?』


振り向いた瞬間、手慣れた感じで先制攻撃。


『あなた並みにね』


一瞬のやりとりで彼のレベルがわかる。


『へー、やるね。でも、見かけによらずとはこのことだ』


『え?』


『名前教えてよ』


『はいはい』


『そうか。相良葵さんか。相良さんのようなのほほんな感じの人でも早く手話出来るんだね。あ、俺向こうで野球部だったから野球部入る予定だし。趣味は散歩』


慣れてる。


手話歴長いね。廉の手話やカウンセリング室の潤子先生より上手い。と言うかもう生活の一部かな。


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