瞳の向こうへ
結構真面目に自己紹介したつもりだったけど、みんな大笑い。


そこへ勢いよく唯が壇上に掛け上がってきた。


「お疲れ」


「疲れてはないなあ」


「あたしには真似出来ないわ。あなたたちガチ過ぎるし。でも、ガチな葵を朝から見れて楽しかったあ」


「はいはい。さっさと終わりにして下さい」


いろんな意味で余韻を残して彼の自己紹介は終わった。


集会後、教室に戻ると尚太君と青柳君が窓際で何か話し込んでた。


私が席に座ると、二人が真剣な表情で声をかけてきた。


「貴重な部員が入りそうだね」


「あいつ……、いや、しょうじ君のポジションは?」


「それは、後のお楽しみで。彼は甲子園でベンチだったけど、途中で骨折して帰ったって」


いや〜、あたしって怖いわ〜。

最後はでたらめ言ってるし。


「ベンチかあ。骨折とはなあ。もったいない」


「去年甲子園に出た関西のチームは大分絞られるなあ」


いや〜、二人とも全く疑ってないのがかえって晴れやか。


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