瞳の向こうへ
「加奈子ちゃん、廉の様子は?」

「来週から車椅子に乗って病院一周するそうです」

廉は野球部が準決勝敗退した深夜意識を取り戻した。

家族はもう大泣きです。

そんな廉の第一声は手話だった。

『迷惑かけてごめんなさい』

私も手話で返しました。

『戻ってきてくれてありがとう』

もうしばらくは向こうの病院にお世話になり、ある程度リハビリが進めばこっちの病院に転院できるみたい。

その間は加奈子ちゃんが話し相手をしているが、タメだったのもあってすぐに打ち解けたらしい。

私のガードは県外まで及ばないから、不安がないといえば嘘になるけど、今は廉がこうしていてくれることを感謝しなくては。

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