瞳の向こうへ
「そっちはどうなの?」

「うまくやってるよ」

彩佳が注文したカフェモカが運ばれてきた。

「あ〜、生き返る」

「どっちが社会人なんだろうね」

彩佳は大学へは進学せず、フィットネスクラブに就職し、新米トレーナーとしての日々を送っている。

運動センスは折り紙つきだったからある意味天職なのかもしれない。

「彩佳、痩せたよね。なんか全体がシャープになった」

「悔しいけどそれは言えてる」

「当然!トレーナーが見本を示さないと商売になりませんから。ところで……」

「勧誘ならお断りしてますので」

「そうです!イケメンの営業さんなら少しはお話聞くけどね。少しならね」

あっさりと魂胆を見抜かれ彩佳は寂しくカフェモカをストローで飲みました。

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