瞳の向こうへ
「営業って言ったら、ほら、尚太営業マンじゃない？」

「そうだった！この間仕事帰りに偶然出会ってお互い名刺交換しちゃった」

彩佳は自慢気にポーチから二枚の名刺をテーブルに大事そうに並べた。

まだまだ学生の私たちは、二人の名刺を見比べて異様にはしゃいじゃった。

この間まで高校生で私たちと楽しいことやぶざけたことしてた彩佳と尚太君が社会人として羽ばたいているんだもん。

「尚太君のようなフットワーク軽そうな人は向いてるーー」

「ねえ！あれ尚太じゃない？」

唯が窓越しに通り過ぎて行く背広を来た二人組を目で追っていた。

「あ！ホントだ！スーツ姿似合う」

暑いのによくスーツ着られるなあと最初の感想だけど、スーツ着たらやっぱり大人っぽくなるね。
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