瞳の向こうへ
「それよりさ、二人とも将来どこで働くか決めてるの?」

「まだ先の話だよ〜」

「みんな最初はそう言うの。でも、時間って長いようで短いよ。働いててつくづく思う。二人のことだから、ホントはもうそこ目指してんでしょ?」

唯にお茶を濁してもらおうとしたけど、意外に彩佳が真面目モードでぶつかってくるからこれは白旗だな。

「二人で公務員になろうって決めてる」

「そっか。お似合いだよ」

彩佳がこんなにも素直に認めてくれるとは。

でも、ただの公務員として働くわけではないからね。

「彩佳、あたしさ、葵に教わってんだ。これをね」

唯がまだ覚えたての手話を彩佳に披露した。

「うっわ〜、唯さんもやるね!どういう風の吹きまわし?」

「どういう意味ですか!」

「葵もすぐにマジになるんだから。冗談よ冗談」

< 314 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop