瞳の向こうへ
言葉は短いが、青柳君への気遣いを感じ取れた。


「しかし、監督の私が言うのもあれなんですが、よく野球部に入部してきたな〜って思いますよ」


「彼なりの罪滅ぼしみたいな感じかと」


「う〜ん、あれはどうしようもなかったと思うんですけどね」


「その後の過程ですよ。まだ根は残ってるんですから」


人によって問題の捉え方は違う。


同じ問題はよその国だと楽観的に捉え、楽観的に経過観察し、楽観的なカウンセリングであっさり終わってしまうこともある。


でも、その逆もじゅうぶんにある。


お互いの信頼関係が築けないうちに、路頭に迷い。最悪な方向に暴走してしまうことも。


「今の段階ではみんなと打ち解けてるようですし、アクションはしません。けど、彼のハートはガラス細工……いや、それ以上にもろいですから、細心の注意を払っていきましょう」


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