瞳の向こうへ
「ホントにそうですね。練習時間遅らせてよかったですよ。いいもん見た」


「え!青柳君?どこから来たの?」


私だけびっくりして椅子を倒してしまった。


「いったあい」


「声がうわずってるぞ。俺は途中から来た。監督がこの間だけ練習やめろってうるさいから、直々に全国二位の実力を拝見しに参上したって訳よ」


正確に言うと二位タイなんだけどね。


「あいつも最後までいりゃよかったのにな」


「あいつ?尚太くん?」


「あいつはグラウンド。期待の二年生翔だよ」


「え!!いたの?そうなの?」


私がテンション上げて驚いてるにも関わらず、みんなはかったように頷く。


「中に入らないで外から見てたわ」


「途中までは食い入るようにお前の手話眺めてたぞ」


「だけど……」


「だけど?」


「女子と手繋いでどっかいっちゃった」


「まあ、あれだ。いろんな意味でみんな青春を謳歌してるんだよ。ガハハハハ……」


源先生のフォローは珍しく不発に終わりそう。


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