瞳の向こうへ
なーんにも知らない女子の痛い視線が背後から突き刺さっているのビンビン感じます。


振り返らないようにひたすら前へ前へ。


「いらっしゃい」


「さっきはどうもです」


グラウンドでユニフォーム姿の源先生。


外へ出れば、最近サマになってきたなあって思えるようになってきた。


外へ出ればの話だけど。


とりあえずベンチへと避難。


「マネージャー候補がたくさんいるね」


隣のクラスで三年生唯一のマネージャー神野紗弥加(かみのさやか)ちゃんに声をかけた。


「あんなのみんな使い物にならない。どうせお目当てはあそこ」


紗弥加ちゃんが指差した先には投球練習してる翔君がいた。


初めて彼の投げる姿を見た。


「葵さん、どう?速いでしょ?」


紗弥加ちゃんは野球帽を手に取り、額の汗をタオルで拭う。


受けてるのは青柳君だ。


一球一球投げ終わるたびに青柳君が慣れない手話を披露してる。


「なんて伝えてるんだろう?いつもああなの」


「ちょっと待ってね……」

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