瞳の向こうへ
でも、やっぱりキャプテン。

願いが通じたのか、ワンアウトからヒットが出ました。

「タイム!!」

突然立ち上がってバットを持つ青柳君。

誰もがびっくりしてる。

「監督!代打行きます。俺も最後くらい試合出させてくださいよ」

源先生はわかってたみたいで、小さく頷いた。

「そういうことなので、俺があいつの息の根を止めてくる」

力強く素振りを続ける青柳君にまた女子の声援が大きくなる。

まったくもうどっちを応援してるんだか。

さすがにキャプテンが代打ということで、翔君の元に内野手が集まってきた。

源先生はベンチに腕組みしたまま翔君を黙って見つめてる。

風が少し吹いてきたみたい。

小さい枝葉がゆっくりと動き、グラウンドの土が一瞬舞った。

「翔!!本気で来い。遠慮はいらん!」

青柳君が声とジェスチャーで翔君に伝える。

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