瞳の向こうへ
……青柳君、それは違うんだけど、今はまだ知らないのが一番。


「こういう時のために葵にいろいろ教えてほしいのに」


「青柳君、一年生に一人同好会入ってるんだけど、その子じゃだめ?」


「そうなんですか!でもその子も予定あるとーー」


「あら噂をすればなんとやらじゃない」


ペットボトルのお茶を真緒ちゃんは吹き出しそうになり、どうにかこらえた。

「あ……その……お邪魔ですよね?」


「あ!待って!あなたに一つ質問があるんだ」


「え?」


「ゴールデンウィークは予定なにかある?」


真緒ちゃんは首を振る。


「なら、俺に手話教えてくれないかな?場所はここで。ダメならいい」


「真緒ちゃん、大事なお客様よ。ゴールデンウィークでも頑張りな。会長喜ぶわよ」


こういった援護射撃は得意なんです。

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