瞳の向こうへ
そんな子供気分の妄想をしてると、携帯が。


現実に引き戻されるの早すぎます。


「はい」


『お久しぶりです』


「これは松井さん。ご無沙汰しております」


電話の主は昔から古い付き合いの松井(まつい)さん。新聞記者やってる。


もちろん、私が海の向こうにいた時代も彼女は支局勤務で頻繁に会ってた。


『早速ですけど、彼女に再会できそうかな〜』


「松井さ〜ん。そんな甘ったるい言い方はよしてくださいよ」


『……ゴホン!!申し訳ない』


「ゴールデンウィークの旅のついででよければ」


『ありがとう!予定空けとくわ』


ますます関西のおばちゃん化してきたな。


「松井さんは彼女一筋ですねえ」


『あったり前です。三秒で惚れてしまいましたもん』


「はい!そこまで!喋り始めたらきりがないです」


強引に話を遮った。
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