瞳の向こうへ
『でも、下半身の筋肉が想像以上に落ちてるらしいから、リハビリ始めるみたい。私からは以上』


考えさせる暇を与えてくれませんでした。


でも、気になることが一つだけある。


彼女が笑顔。


最後に私が見た彼女はひどく怯え、誰も信じようとはしなかった。


……一度会ってみたいけど、裏切り者と罵られるだけ。


……って、翔君とおんなじじゃない。


罵られても構わないから逃げずに彼女と対峙しないと説得力がない。


……言うだけは簡単なんだけど……。


『彼の家族にも伝えてあるから、そのうち彼も知ることになると思う。長くなったわ。それじゃ。楽しみに待っておりますので』


松井さんがご機嫌で何よりよ。


生ぬるい風が部屋に入りこんでくる。


彼女の叫び……。そう思えてならない。


先生は私の元へ訪れる資格はないです……。

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