瞳の向こうへ
【翔side】


俺は……、今から後悔してる。


頑固に拒否すべきだったんだ。


なんで、深く頷いてしまったんだろう。


昨夜、夕食時親父がいつにも増して汗が凄かった。


昔から察しがよすぎる俺はすぐわかったよ。


そして、夕食後。


部屋でくつろいでると、メールが来た。


『話があるから部屋入るぞ』


入ってきたのは母だった。


母は年頃の男子の部屋に含み笑いを浮かべたが、じきに表情が引き締まってゆく。


『彼女が意識を回復したって』


……やっぱりな。


だとすると、この後の母のセリフもだいたい想像がつく。


『足の筋肉落ちてるからリハビリ始めるって』


『脳に障害はないみたい』


『向こうの両親は一度でもいいから来てだって』

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