瞳の向こうへ
『葵さんのお身体さーん。葵さんは大丈夫なんですかあ?』


……軽い。


あまりにも軽い。


でも、今日は何の感情もない。


この軽すぎる空気についていくしかない。


「貴重な昼休みに遊ばないの?なんか隣でボソボソ声が聞こえてますが」


『…う……』


どうやら図星かな?


「この〜真っ昼間からラブラブかあ?」


さらに彩佳に追い討ちをかけた。


『おはよう。彩佳の彼氏でーす』


え?


私の耳まで風邪でおかしい?


彩佳の彼ってこんな女の子っぽい声だっけ?


『どうも葵サマ。生徒会長の唯です。お元気で何より』


「あらら。これは失礼しました唯サマ」


『ま、それなりに元気でよかった。葵いないと何かしまんないし』


「どしたの?気持ち悪い。私は自称窓際の女の子ですからね」


私を少しだけ持ち上げてる女の子は生徒会長の生田唯(いくたゆい)


一言で表現するとデキる女の子。


かといって男女から煙たがれているわけでもなくいたって普通の女の子。


唯と彩佳が一緒ってことは……。


『あ〜、もう大体わかってると思うけど、あたしら同じクラスだから。ついでに担任も源先生のままだしよかった』


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