瞳の向こうへ
おばさんの病室に長くお邪魔してるのにようやく気付いたのは、看護師さんが病室に来た時だった。


私に対して穏やかな笑みを浮かべて入ってきたけど、目がとんでもなくキレ気味だった。


まわりくどい言い方でここから出ていけと言われる前に自分から退散しましたよ。


でも、おばさんに手話を少し教えられてよかった。


いや……、凄いドキドキしてる。


エレベーターで降りてる最中ずっと深呼吸してどうにか落ち着こうとした。


これから取材なんだよ〜。あたし頑張れよ〜。的なセリフを繰り返し繰り返し。


ほんの少しの時間だけど、少し落ち着いてきたかなあ。


不安いっぱいななかエレベーターが開いた。


「え!!」


思わず声にならない声をあげた。


……人違い?


……だよね?そうだよね?


……こんなとこに。


……ここは関西の病院だよ?

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