瞳の向こうへ
私は夢を見てるのか?


ここから帰ろうとしてる翔君がいるのは夢?


中途半端な距離だから、別人には見えない。


やけに慌てているように見えるけど……。


う〜ん。わからないよ……。


結局、追いかけることも出来たけど、私は少しエレベーター前で固まってしまい、病院から出ていく姿を見守っていた。


私が待たせてるのをすっかり忘れブツブツつぶやきながらカフェへと足を運んだ。


「お帰りなさい!」


「……お久しぶりです!」


「顔が不思議ちゃんだよ」


潤子先生が興味深く私の顔を覗きこんでくる。


「そうかなあ。気のせいですよ〜」


思わず身体を反らした。


「相良さん、オバサン覚えてますかあ?」


「松井さんですよね?私今でも名刺持ってます」


……急に名前を思い出した私ってすご〜い!

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