瞳の向こうへ
暑さのピークは越えたとはいえ余韻が残っているグラウンド。

組み合わせ抽選会も終わり、気持ちもあらたに練習にみんな打ち込んでる。

『ごくろうさん』

練習が終わってもいないのにキャプテンからいきなり締めの手話が炸裂。

『取材は?』

『練習の終わりだって』

『え!』

『監督が手話同好会会長と少し話があるから練習終わりにしてくれって』

『……なるほど』

なぜか素直に納得した。

『仕方ないよ。この学校のヒロインの結果が明日わかるんだから』

『全国ですか』

『一人で学校の期待を背負ってるんだから凄いよなあ』

『そうですね』

『ま、野球部も似たようなもんだけどな』

キャプテンに肩をポンポン叩かれた。

面と向かってはっきり言われると恥ずかしいなあ。

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