不幸体質恋愛?!
「あ、はい。1回目はプリント用紙で滑って、2回目はビニール袋で滑って、3回目はほら、バナナの皮です」

「……転びすぎ」

「で、ですよね……」

……と、そんなやり取りをしている間に数分経ってしまっていた。

あたしは授業に遅れそうだったことを思い出す。

「えっと、じゃぁなんかお礼をしないと……。手、出してもらえますか?」

制服のポケットにあったキャラメルの箱からキャラメルを1個コロンと取り出すと相手の人の手のひらに乗せる。

「キャラメル?」

意外そうな声が聞こえる。

何かほかのお礼をすると思ってたのかな?

「はい、おいしいんですよ、それ!じゃぁあたしはこれで」

あたしはにこっと微笑む。

その場を後にしようとすると、おい、と呼び止められた。

「キミ、俺のこと知らないの?」

「ほへ?どこかで会いましたっけ?」

へんなことを聞くなぁと思った。

「いや、いい」

「なら、あたし行きますね。あなたも授業遅れますよ?」

あたしがそう言って、また走り出そうときたとき、




「おもしろいヤツ…」




「え…?今なんて…」


「なんでもない。それより、早くいかないとおくれるよ」

「へっ?あひゃあ!あと3分しかない?!」

時計を見ると昼休みの残り時間はあとほんの僅かになっていて、わたしはそのまま走り出した。


そうして、あたしはその人と別れた。

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