不幸体質恋愛?!



Side ??


昼休みの終わりごろ。

俺は女子の相手をするのに疲れ、旧校舎の屋上に向かっていた。

あそこなら誰もいねぇだろ。

そう思って階段を上ろうとした時、

「ひゃっあ!」

突然、女の子が降ってきた。いや、そんなどっかのラピュタみたいな感じじゃない。ただ、落ちてきた。

俺は思わず受け止める。


あ、その、なんだ?


落ちてきた女の子は少しくせっ毛の黒髪を耳のあたりで2つに結った、やけに顔立ちの整った子だった。

目をギュッとつむっている。

…まつ毛なげぇな…。

数秒経って、女の子はゆっくりと目を開ける。

開かれた目はまん丸としていて、まっすぐと俺の顔を捉えた。


「えと、あの、ありがとうございます!」

俺の腕の上で散々慌てた後、ペコっと勢いよく頭を下げてお礼を言う。

「あぁ、別に。それより大丈夫?怪我はない?」

こんな旧校舎で生徒に会うとは思わなかったけど、俺のキャラを保つため、微笑みながら聞く。

あぁ、面倒くさい。

女の子はその言葉にぱっと顔を明るくして、両手を大きく広げた。

「あ、はいっ大丈夫です!ほら、この通り!」

「そっか、よかった」

すると、女の子は

「いやぁ、あたしこうなるのもう3回目なんですよねぇ!」

と、照れたように頭をかいた。

見たところ、リボンの色が俺のネクタイと同じ緑色だから、俺と同じ1年だろう。

今はまだ入学式があってから一週間しかたっていない。

なのにもう3回も階段から落ちてるって…

こいつは、バカなのか?

「3回?」

「あ、はい。1回目はプリント用紙で滑って、2回目はビニール袋で滑って、3回目はほら、バナナの皮です」

「……転びすぎ」

俺が言うと、その女子も苦笑して

「で、ですよね……」





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