一途な僕から鈍感な君へ
ゴールして、皆から歓声が上がったと同時に、この世へ音が戻ってきた。
足を止めると、どっと呼吸が荒くなり、自分がどれだけ運動不足かがわかる。
「じゃあ1位でゴールした三井君に借り物内容を確認したいと思いまーす」
マイクを持った係が私たちに近づいてくる。
借り物…
どうやら私は三井翼に借り物されたようだ。
内容は『オタク女子』だろうか?
そんな事を、息を切らせながら考えたが、多分このグラウンドに居る全員がそう思っているだろう。
なにせ、私の右手にはマナ様のフィギュアが掴まれているのだから……
係が三井翼の前まで来ると、三井はやっと私から手を離して紙を係に渡した。
「えーっと!内容は~
『好きな人』です!
うん、オタ………………ええ!?」