一途な僕から鈍感な君へ
「……で?」
一通りの説明を聞いてから、私の口から出た言葉はそれだった。
5人は私の反応に珍しい物を見る目をしている。
「何故私はここに来て、バンドの説明を聞いている?」
それが分からないのだ。
三井に呼ばれて来てみればバンドメンバーに紹介され、バンドの概要をただ聞く。
アニメの話題ならまだしも、興味の無い話題をいきなり囲んで言われても、どうすれば良いのか分からない。
バンドなんてさっぱり分からないし、ここから話を広げるなんて巧みな技私の得意技に入ってない。
真顔で大真面目に聞く私を見て、三井以外の4人は口を開いたまま固まっている。
三井が苦笑いをして、「鈍い…」なんて呟けば、
他の4人も
「こんな子居るの!?」
「つか今時の若者でこの反応って…」
「紹介って事は…キャッ!ドキドキ!とかならないの!?このオタク女子…」
「いやいや、体育祭でさり気なくアピっても乙女の反応一つ無い奴だぞ!?」
なんてヒソヒソと話している。