一途な僕から鈍感な君へ




バンドと言っても、近くの小さなライブハウスでやる程度のものだ。


しかし、都会から少し離れたこの場所では、それでも充分に人より目立ち、注目の的である。



他のバンドメンバーも、この高校に通っており、それなりに人気だが、
やはり「ボーカル」という事と「美少年」という事があり、彼の人気はダントツのようだ。






借り物競争が進む中、彼の走る順番になる。


一段と生徒は盛り上がり、彼を見つめていた。











そんな人気者の彼を、
見つめるでも、声を上げるでも無く……










「さ~本日の目玉!このちびきゅんフィギュア!今は売ってない非売品だ!!」


グラウンドを囲んでいる生徒の後ろでは、団欒を囲んで違う戦いが行われていた。




「そっ!それは!出現率がかなり低いとされるシークレットじゃないか!」



私…青木 花菜(あおき かな)が掲げるフィギュアを見た1人が、掛けている眼鏡をクイッと持ち上げて声を荒立てた。




 
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