一途な僕から鈍感な君へ
私はニヤリと笑って、ゴクリと息を呑む他数名を見回す。
「そう!もうアニメも最終回を迎えましたが、それで熱を冷ます程君らは薄情では無いだろう?
今回はこれを一名に譲ろうではないか!」
私の熱の籠もった煽りに、皆が「おお!」と歓声を上げる。
体育祭が行われている今日。
アニメオタクである私たちは、『裏取引』…と言えば聞こえは格好いい『オタクの会合』を開いていた。
持ち寄った物を物々交換したり、情報の交換をしたり……
端から見れば、ただの気持ち悪い集団に見えるようで、近くの人は見ない振りをしながらグラウンドへ目線を逃がしていた。
そう、私は……
普通女子のように現実の男子に惚れるでも興味を持つでもなく、
普通女子のように周りを気にして群がるでもなく、
普通女子のようにオタクである自分を恥じらうでもない。
オープン・アニメオタクなのだ。