一途な僕から鈍感な君へ




仲間たちの羨む声に鼻高々になる私。


そんな私へ「ちょっと待った」と声が掛かる。



「それは、皆も知っての通り『マナ』だ。しかし、マナが愛用している闇の剣が見当たらないようだが?」


『マナ』とは、私が持っているフィギュアのキャラクター名だ。

そのマナが常に持っている武器が無い事に異議がある彼は、同じクラスで同士の秋谷(あきたに)だ。


彼は見た目こそチャラく見えるが、中身は生粋のオタクだ。
アニメ・漫画・ゲームと、気に入った作品は奥深くまで追求する。


彼とのオタク議論は尽きる事無く、今や一番のオタク仲間だろう…。





「私も初めにそこを思ったけど、マナ様のこの完成度。剣があっては逆に邪魔にならないかい?」

私の言葉に秋谷は呆れたように溜め息をついた。

「青木は分かってないね……俺は、この原作者・守屋先生の作品を全部漫画で読んでいる。そこで先生は『武器にはこだわりがある』と書いていた。
確かにマナの武器は斬新でこだわりがある。その武器が無くてこのフィギュアに価値があるのか?
あの闇の剣があってこそマナだろう」




 
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